段ボールの豆知識

段ボールとは

世間では ”段ボール”とも ”ダンボール”とも言われますが、業界では”段ボール”と表記します。
1909年に日本で初めて段ボール製造に成功した 井上貞治郎氏が名付け親です。
段ボールの由来は、【断面の波型が階状に見える】【原紙にボール紙を用いていた】ことからと言われています。
英語では【corrugated cardboard】です。
”板紙2枚”の間に ”波状に加工した板紙”を挟み接着したものです。この状態は ”段ボールシート”が正式名です。
この波々とした部分のトラス構造で衝撃を吸収して商品を保護します。

段ボールシートとは

段ボールを資源ゴミとして出す時に 平らに潰したり折り曲げるかと思いますが、同じように見えて『これは硬いな?』『柔らかいな?』ということがありませんか?
段ボールシートについて

段ボールシートは 長さが100mもあるコルゲータと呼ばれる
貼合機(てんごうき)で3枚の板紙を接着加工されます。
  板紙2枚 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・表ライナー・裏ライナー
  波状に加工した板紙・・・・・・・・・・・・・・・・・中芯
フルートと呼ばれる中芯の波状加工の高さと繰り返し数の加工により
さらに厚さの種類があります。
用途により茶色(クラフト色)だけで無く、白色・木目などの
模様・カラー印刷など多種多様な段ボールシートもあり、
片段(平らな板紙が1枚だけ)・多層(波状が2層・3層)などの
特殊な形状もあります。

・ライナー(JIS P 3902)とは
■紙質は D・C・Kがあり 古紙の含有率で差があります。Kライナーはクラフトライナーと呼ばれるように
バージンパルプ100%で造られていましたが、製紙の抄造技術が進歩したため 現在は古紙を含んでいます。
Dライナーは印刷に不向きですが安価なために パットなどの緩衝材として使用することが多いのですが、
C・Kライナーに比較して市場使用量が少ないためにシートメーカーもDライナーの製造日を集中させています。
納期と最低発注量に注意が必要です。これを避けるために最初からC5で設計することが多くなっています。
    Dライナー : ジュートライナー(古紙含有率100%)
    Cライナー : ジュートライナー(古紙含有率 90%以上)
    Kライナー : クラフトライナー (古紙含有率 50%以上)
耐水・撥水・耐油・茶殻など機能性を高めた特殊ライナーもあります。

■厚さの違いは、斤量(重さ)で表します。(1平米あたりの重量=g/㎡)
120~280g/㎡と色々ありますが 数字が大きくなるということは、紙が重くなる=厚くなるので硬くなります。
むやみに硬い段ボールシートを使用しても高額となるだけで、箱の中に入れる商品の原価負担になります。
硬ければ良い・柔らければ良いという訳では無く、衝撃を吸収する適度な硬さが求められます。
斤量は正式には 【g/㎡】 ですが、4・5・6・7と1桁の数字で表されることが多いです。
この数字は、日本での段ボールの歴史が1909年と古く尺貫法の匁で表されていたために旧来の呼称が
残っています。(キログラムなどへの移行は1951年の計量法にて)(匁(もんめ)=3.75g=5円玉の重さ)
4匁=130g/㎡ ・ 5匁=170~180g/㎡ ・ 6匁=220g/㎡ ・ 7匁=280g/㎡ となります。

■紙質と重さを合わせた表現で K180(Kライナーの180g/㎡)とライナーを表示します。K5と呼称されます。
D4<C5<C6<K5<K6<K7と6種類ありますが、C5・K5・K6の3種が一般的に使用されます。
耐水・撥水・耐油・茶殻など機能性を高めた特殊ダンボールもあります。

・中芯(JIS P 3904)とは
・フルート(JIS Z 1516)とは
■中芯で使用する板紙は 印刷するわけでは無いので、ライナーに比較して紙質は落とします。
波状に加工するので柔軟性と接着性の方が重要です。斤量は115~125g/㎡が通常です。120g/㎡・160g/㎡
・180g/㎡・強化180g/㎡・強化200g/㎡と斤量の種類があります。
斤量の数字の前に強化と付くのは、斤量が同じでも薬剤で硬く強化した商品です。
中芯がライナーと比較して硬すぎるとライナー(段ボールの表裏面)がデコボコしてしまいます。折り曲げた時に
ライナーが割れたり、印刷不良が生じることもあります。ライナーとの ほど良いバランスが必要です。
■中芯を波状加工したものをフルートと呼び、Fと表示されます。波状加工の高さ・繰り返し数の違いにより
いくつかの種類があります。

・段ボールシートは正式には 【表ライナー/中芯/裏ライナー フルート】で表示されます。
【K180g/S120g/K180gAF】と表示されますが、中芯が標準の120gであれば省略して【K5/K5 AF】、
表裏のライナーが同じ材質なので省略して【K5AF】と略式表示されます。

フルート名シート高さ     
(mm)
段の高さ     
(mm)
30cm
あたりの
段数
備考
Wフルート

(AB)
WF

W段
8--衝撃吸収性・破裂強度が高いので、大きな箱・

金属等の重量物・輸出用などに用いられる。

複両面段ボールと呼ばれ、BC段・EB段など

もある。
AフルートAF

A段
54.5~4.8
34±2
フルートの中で一番有名だが、海外では

Cフルートの方が一般的。段の高さが高い

ので緩衝性に優れ、垂直圧縮強さも優れて

いる。外装箱として広く使用される。

みかん箱と呼称される。
CフルートCF

C段
43.5~3.8
40±2
海外で一般的なために世界基準として国内でも

今後普及が進むと言われている。Aフルートに

比較して約20%の減容化になるために使用量の

多い大手メーカーが採用。後発商品。
BフルートBF

B段
32.5~2.8
50±2
緩衝性はAフルートより劣るが、平面圧力に

強い。内装箱として広く使用されるが、小さい

商品・軽い商品では外装箱としても使用される。
DフルートDF

D段
21.5~1.8
60±2
BフルートとEフルートの中間サイズ。

Eフルートでは強度が不足、しかしBフルート

では過剰スペックな場合に推奨。後発商品で、

まだ一般的ではない。
EフルートEF

E段
1.51.1~1.4
80以上
マイクロフルートと呼ばれる段ボールの中

では一般的。内装箱・個装箱として広く

使用される。印刷性も良い。板紙よりは

厚いので強度も緩衝性もある。
FフルートFF

F段
1.10.6~0.75
120以上
マイクロフルートと呼ばれる。メール便用の

箱やポスターケースなどに使用される。

板紙よりは厚いので強度があるが軽量。
GフルートGF

G段
0.90.5~0.75
160以上
マイクロフルートと呼ばれる。オフセット印刷

が直接可能なために、片白にして4色印刷すれば、

緩衝性のあるカラー美粧箱として使用出来る。
※スマートフォンの場合、横に指先でフリック(払う)と次のフルートを見る事ができます。

環境に優しい段ボール

『商品を緩衝・保護・包装して保管・輸送する』これが段ボールの役目です。
役目が終わったら処分しますが、処分と言っても、燃えるゴミに出してはいませんね。資源ゴミとして回収されています。ここがリサイクルの優等生と呼ばれる段ボールの真骨頂です。日本での段ボールの回収率は、8~9割と言われています。回収されて生まれ変わる。何度も繰り返しリサイクルされる。環境にとても優しい素材なのです。良く見かける段ボールに印刷されているリサイクルマークは、これを表しています。

段ボール・リサイクル

段ボール箱について

”段ボールシート”を素材として造られた箱が”段ボール箱”です。
段ボール箱と言われて通常想像し、世の中で一番使用されているのが”A式”と呼ばれている箱です。
(A式というのは旧来の略式呼称です。正式には JIS Z 1507でコード番号:0201と呼ばれる箱です。箱の形状を
国際規格に合わせてコード番号にしましたが、日本では全く普及しなくて旧来のA-1形式からA式と呼ばれます)
蓋も底も各4枚のフラップで構成されて テープ止め・ホチキス止めなどで固定します。”みかん箱”と呼んだ方が なじみがありますね。(でも若い世代では宅配便や通販の箱とのこと。みかんは袋入りしか見たことが無いそうです・・・)
【段ボール箱の機能として】
    ・商品をキズ・汚れなどの ”破損から防止”
    ・商品をゴミ・ほこり・太陽・水などの ”環境から守る”
    ・商品の封入前は、たたんで ”部材の省スペース化”
    ・印刷広告により ”商品の訴求効果UP”
    ・箱に入れることにより ”運送・保管の利便効率化”
    ・決められた数量を入れることにより ”数量管理の効率化”
・リサイクルの優等生の素材を使用して ”企業イメージUP”  などがあります。
A式以外にも、”B式” ”N式” ”ワンタッチ底” ”アメリカンロック” ”キャラメル”・・・・・用途に応じて様々な形状があります。
武田紙器の特徴の一つとして A式以外の箱も製造出来ることです。

箱の寸法について

段ボールの箱寸法の呼び方については、JIS Z 1506の規定されています。
【 L x W(またはB) x H 】 = 【 長さ x 幅 x 深さ 】 で表し、単位は 【mm】 です。
しかし、長さx幅x深さ(LWH)、縦x横x高さ(DWH)、幅x奥行きx高さ(WDH) など寸法表記が時代により学校での教え方が違います。高さを一番前に表記するメーカールール・業界ルールも存在しています。現在では、 【 WDH 】 = 【 Width x Depth x Height 】 = 【 幅 x 奥行き x 高さ 】 が一般的な呼称となっています。【W400xD300xH200 mm 】 のように数字の前に どの部分の寸法か明記した方が確実です。

寸法

英  語
日本語
L = Length
長さ
B = Breadth

W = Width
幅 / 横
S = Side
側面
D = Depth
奥行き / 縦
H = Height
高さ / 深さ

段ボールはシートの厚みがありますので、箱を使用する立場によって必要な寸法に違いがあります。

名   称
読   み
内   容
Aフルートでの寸法例
商品寸法   
ショウヒンスンポウ   
箱に入れる商品の外寸法。
スキマは考慮しない寸法。
395x295x195
内寸法
ナイスンポウ  
  
ウチスンポウ
箱の内側の寸法。
商品を箱に入れるためにスキマを考慮した寸法
400x300x200
外寸法
ガイスンポウ  
  
ソトスンポウ
箱の外側の寸法。
パレットやトラックに載せるために必要な寸法
410x310x220
罫線寸法
ケイセンスンポウ
箱を製造するために必要な寸法。
箱を折り曲げるための寸法。
406x306x209

材質が同じであれば、上記表の右端の例については 全て同じ大きさの箱のことです。商品寸法=内寸法ですと箱の中から商品を取り出す時、箱に入れる時 ともに大変です。そのために 遊び(スキマ、逃げ とも呼ばれます) が必要です。遊びの寸法により、商品の入れやすさ・出しやすさが変わりますが、割れ物などの壊れ物でスキマが大きすぎると商品が揺れてしまい 固定しないので破損に繋がります。箱も壊れやすくなります。
『たかが箱、されど箱。段ボール箱も商品の一部』なのです。弊社営業に御相談下されば 的確な設計を致します。

代表的な製函工程について

・A式工程

A式工程
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・スリッターB式工程

枠と差を別々に加工してステッチ止めする方式
木型を使用しないので安価に製造できます。
小ロット・サンプルなどに適しています。
B式工程
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・ワンタッチ式工程

木型を使用して特殊形状に加工後に接着する方式
抜き型を使用します。
生産量の多い場合に適しています。
ワンタッチ式工程
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段ボール箱の結束紐について

・段ボール箱の梱包は、安価に提供するために、通常はビニール紐にて結束されています。


A式フローレン
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